提出を要しない確定申告書 〔 H22.4.9 〕

 一ケ所からの給与しかなく、他に所得のないサラリーマンで、妻を控除配偶者として年末調整を済ませていたが、妻の所得が38万円超であると分かったため、税務署に配偶者控除不適用の確定申告書を提出した場合のその意味について考えて見ます。

申告義務のない確定申告書の提出
 このサラリーマンには確定申告の提出義務はなく、税務署長にもこれに対し確定申告を強制する決定権限はありません。しかし、自主的に提出された確定申告書は法的には有効です。
 サラリーマンには確定申告をすることが禁じられているのではなく、申告義務が免除されているに過ぎないからです。

提出した確定申告の撤回も任意
 とはいえ、サラリーマンの自主申告に対する国税庁の姿勢はこれを本来のあるべき姿とは捉えていません。
 通達によると、確定申告義務のないサラリーマンの提出した申告書は、撤回の申立てをすると当然に撤回されることになり、申告により納付した税額も還付されることになっています。

過年度分の申告の場合の附帯税
 また、サラリーマンには、そもそも確定申告書の提出義務がなく、従って提出期限の定めもないので、サラリーマンの提出する自主的申告書は、例え過年度分であったとしても期限後申告書には該当しません。
 従って、加算税や延滞税の課せられるべき構成要件に該当することはありません。

再年調処理が実務の慣例
 サラリーマンの自主申告があったことによって、その者に係る国の歳入額がすでに充足されていたとしても、源泉徴収義務者が正当な計算を行って追徴税額を徴収する義務が免除されるわけではありません。
 課税庁が年末調整の不適正を知った時は、源泉徴収義務者を通じた年末調整の再計算を慫慂(しょうよう)してきます。

再年調の規定はない
 しかし、法的には再調整の規定は存在しません。年末調整は年の最後の給与で行うものとされ、扶養控除等の情報申告・修正も給料日前に行うものとされており、予測された真実に基づく限りそれは適正であり、源泉徴収義務者にはその申告の正否を調査する義務も権限もありません。

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