生保上場株式への課税
〔 H22.5.6 〕
第一生命の株式上場
第一生命が、2010年4月1日に株式会社に組織変更して、東証1部に上場しました。
第一生命の保険契約者821万人のうち、120万〜130万人が株を受け取ったとみられており、上場に合わせて取得する人も含めると株主数はNTT(昨年9月末時点で125万人)を上回って国内最多の150万人といわれています。
発行株式総数は1000万株で、売り出し価格は14万円だったものの、初値はそれを上回り16万円を付けました。上場日における株式時価総額は約1兆6000億円ということになり、国内企業の中では30位〜50位にランク付けされます。
先行事例がある
ところで、保険契約者が組織変更時に株式をもらった場合、課税はどうなるのでしょうか。生保会社の株式会社化としては、大同生命(2002年)・太陽生命(2003年)・三井生命(2004年)に次いで4社目なので、先例を確認することになります。大同生命保険が株式会社化されたときの処理が公開されています。
割当てを受けた株式に係る課税関係
@保険契約者が受け取る割当株式に係る経済的利益は、株式会社化に伴って偶然に実現する一時の所得なので、個人については一時所得の収入金額、法人については益金の額とされます。
A割当株式の評価額は、適正な時価を反映させる方式で出した売り出し価格により評価することとされています。
Bただし、組織変更と同時に強制売却される端株については、保険契約者が端株に関する権利を行使できないことから、実際に交付される金銭の額により評価します。
原価はゼロ
保険契約者には、保険会社への寄与度に応じて株式が交付されるようです。即ち、生命保険会社を儲けさせてきた人には沢山の交付があり、古くからの個人年金保険や一時払養老保険などのように予定利回りが高くて逆ザヤの人には株式の交付なし、ということなのでしょうから、過去の保険会社への提供利益の一定割合が株式の原価になるとも言えます。
しかし、計算可能性の困難さもあり、一種の割り切りで、原価はゼロの扱いです。
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