厳格な要件ながら株式自体を消滅させることもできる
所在不明株式の問題は、大概は以上の処理で足りるはずですが、いっそ株式自体を処理できないかとのニーズも出るでしょう。
そこで、所在不明により通知・催告が不着になってから、継続して5年間到達せず、かつ、この株主が継続して5年間剰余金の配当を受けなければ、競売あるいは会社又は第三者への売却をすることができます。
そして、競売ではなく、会社又は第三者への売却の手続を採る場合には、市場価格がある場合はその価格で、ない場合には概要の以下の各手続をとります。
@ (自社の買い取りに限って)取締役会にて買取の決議をする、
A 株主において3ヶ月以内に異議を述べることができる旨の公告及び株主宛の催告を出す、
B Aの異議申立期間(3ヶ月)が経過し、異議が出されない、
C 裁判所に対して、売却許可の申立をなし(買取価格の鑑定の提出を求められる)、許可決定を受ける、
D 許可決定後は、売買代金の支払として、法務局へ供託する。
読んでいるだけで気が重くなられたかも知れませんが、所在不明とはいえ、第三者の株式を一方的に処分するためには、かくも厳格な手続を要するということです。