復活している繰戻還付
〔 H22.7.17 〕
繰戻還付という制度
所得に課税する法人税や所得税には、所得が赤字だった時の、赤字の翌期以降への繰り越しの制度があるとともに、赤字の前期への繰り戻しという制度もあります。
法人税の繰戻制度は過去長らく適用停止になっていましたが、昨年の税制改正で資本金が1億円以下の法人につき制度復活がありました。ただし、今年の税制改正で、適用法人のうち資本金5億円以上の法人と完全支配関係にある法人の場合は対象から除かれることになりました。
税務調査があるという噂があるが
繰戻還付の請求があると、「必要な事項について調査し、その調査したところにより」還付する、との税法規定があるので、繰戻還付請求をきっかけに、必ず税務調査があると言われていました。でも、調査と言っても、机上調査とか電話確認調査とかも「調査」の類なので、実際はこのような軽い調査で済んでいる事例が多そうです。
還付額の計算の仕方
還付請求ができる金額は、前期法人税額に当期欠損金額を掛け前期所得金額で割って算出します。
前期の課税所得が1000万円だったとすると、前期税額は次のようになります。
800万円×18%=144万円
200万円×30%= 60万円
計 204万円
当期に欠損金が 400万円だったとすると、
204万円×400万円÷1000万円=81.6万
円
還付請求税額は、このように計算されます。
地方税は要注意
法人事業税、法人住民税には繰戻制度はありません。繰戻制度を適用すると法人税ではその分繰り越しの赤字は消滅してしまいますが、法人事業税では消滅せず、翌期以降7年間に亘り繰り越されます。
法人住民税では、課税標準は所得額ではなく法人税額なので、翌期以降の課税標準となる法人税額から繰戻還付法人税額を控除します。
繰戻還付適用による新たな添付書類
法人税で欠損金の繰戻還付を受けるときは、「欠損金の繰戻しによる還付請求書」、翌期の法人住民税では「控除対象還付法人税額の控除明細書」の添付が必要です。
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